コロナウイルスで全世界でスポーツ興行が止まっていますが、NFLドラフトだけは4月にきっちり行われました。今回は、今年のドラフト1巡目の結果を紹介します。
1位~10位
1位:ジョー・バロウ (ベンガルズ)
今年の全体1位はシンシナティ・ベンガルズが、LSUのQBジョー・バロウを指名。ベンガルズには長年先発QBを務めていたアンディ・ダルトンがいましたが、この指名でダルトンのベンガルズでの日々は終わりを告げることになりました。数日後、ダルトンは、ダラス・カウボーイズへの加入が発表されています。大不振だった昨季のベンガルズですが、このバロウの加入で持ち直したいところですが、他にも補強箇所が多そうで、もう数年低空飛行が続く可能性がありそうです。
2位:チェイス・ヤング (レッドスキンズ)
ワシントン・レッドスキンズが2位指名でディフェンスエンドのチェイス・ヤングをオハイオ州立大学から獲得。今季のドラフトの中で、身体能力が最も高いという下馬評だったヤングが順当に2位で指名されました。
3位:ジェフ・オクーダ (ライオンズ)
デトロイト・ライオンズは3位指名で、同じくオハイオ州立大学のCBジェフ・オクーダを獲得。こちらもルーキーイヤーから活躍が期待される選手です。
4位:アンドリュー・トーマス (ジャイアンツ)
4位の指名権はニューヨーク・ジャイアンツ。ジョージア大学OTのアンドリュー・トーマスを指名、必ずしも下馬評の高い選手ではありませんでしたが、蓋を開けてみれば、今年のドラフトのOTの選手では最も評価の高い選手となりました。QBダニエル・ジョーンズを守る壁となれるでしょうか。
5位:トゥア・タゴヴァイロア (ドルフィンズ)
5位のマイアミ・ドルフィンズはQBのトゥア・タゴヴァイロアをアラバマ大学から獲得。この選手も下馬評高いQBでしたが、怪我をしたためその回復具合が気になるところです。それでも、フランチャイズタグをつけられるようなQB不在のドルフィンズにとっては、この獲得は願ったりのもののはずです。
4 (4)New York GiantsGiants Andrew Thomas T Georgia
6位:ジャスティン・ハーバート(チャージャーズ)
QB選手の指名が続きます。6位はロサンゼルス・チャージャーズがオレゴン大学のジャスティン・ハーバートを獲得。この選手もタゴヴァイロアに勝るとも劣らない下馬評を得ています。長年QBを務めていたフィリップ・リバースと分かち合ったチャージャーズは、この若きQBにチームの若返りと将来を託すことになります。
7位:デリック・ブラウン (パンサーズ)
キャロライナ・パンサーズは7位でDTでオーバーン大学のデリック・ブラウンを指名。低迷の続くパンサーズは補強する箇所が多く、このDTの指名は評論家の間では評価が別れています。長年QBを務めていたキャム・ニュートンがチームを離れて、テディ・ブリッジウォーターを新QBとして迎えたチーム。ブラウンはチーム再建に貢献できるでしょうか。
8位:アイザイア・シモンズ (カーディナルス)
クレムソン大学のLBアイザイア・シモンズが8位指名でアリゾナ・カーディナルスに入団。セーフティも、コーナーバックも務められる選手ですが、カーディナルスではラインバッカーで活躍することになりそうです。
9位:CJ・ヘンダーソン (ジャガーズ)
9位のジャクソン・ジャガーズが指名したのは地元フロリダ大学出身のCB、CJ・ヘンダーソン。ジャガーズはこれまでのCBがトレード流出で大きな穴となっていたので、そこを補強した形になります。ヘンダーソンの評価は、CBとしては3位指名のCBオクーダについでの評価ということで期待できそうです。
10位:ジェドリック・ウィルズ (ブラウンズ)
10位のクリーブランド・ブラウンズはアラバマ大のOTジェドリック・ウィルズを指名。OTでは3位指名のアンドリュー・トーマスにひけを取らない評価です。QBバイカー・メイフィールドと近年の上位ドラフト指名で、立て直しの傾向が見られているブラウンズに更に安定した左OTの新人が加入。来シーズンブラウンズは面白いチームになりそうです。
11位~20位
11位:マカイ・ベクトン (ジェッツ)
10位に続いて、11位もOTでした。ルイビル大のマカイ・ベクトンがニューヨーク・ジェッツから指名を受けました。カレッジフットボール時代のプレイがNFLに適応できるのか疑問を呈する評論家もいて、ハイリスクハイリターンな選手選択と見られています。
12位:ヘンリー・ラッグスIII (レイダース)
このドラフトでは最上位のWR選手となったヘンリー・ラッグスIII、アラバマ大からラスベガス・レイダースに入団です。レイダースは指名時点で、他にも有力なWRのシーディー・ラムやジェリー・ジューデの選択もできましたが、スピードで勝るラッグスを選択。ラスベガス移転1年目に活躍できるルーキーとなれるでしょうか。
13位:トリスタン・ワーフス (パッカニアーズ)
このドラフトでは、上位でのトレードがあまり活発ではなく、ここで初めてトレードによる指名順位交換がありました。タンパベイ・バッカニアーズが49ersと順位交換、13位でアイオワ大出身のOTトリスタン・ワーフスを指名。パッカニアーズは、このオフQBトム・ブレイディを獲得して注目を浴びていますが、そのブレイディを守る一翼をこのワーフスが担うことになりそうです。
14位:ジェイボン・キンロウ (49ers)
パッカニアーズとのトレードで順位を1つ落としたサンフランシスコ・49ersが指名したのはDTのジェイボン・キンロウ(サウスキャロライナ大)。予想されていたオフェンスではなく、ディフェンスの選手を獲得して、既に安定しているディフェンスを更に強化する狙いでしょうか。
15位:ジェリー・ジューディ (ブロンコス)
デンバー・ブロンコスが15位でアラバマ大のWR、ジェリー・ジューディを指名。昨季のブロンコスのパス攻撃は全体で28位、WRのコートランド・サットンが成長著しいですが、そ例外のターゲット獲得が急務でした。このドラフトのWRの中でも屈指の高評価のジューディ獲得でパス攻撃の選択肢をブロンコスは増やしたいところです。
16位:A.J.テレル (ファルコンズ)
アトランタ・ファルコンズは16位でクレムソン大のCB、A・J・テレルを獲得。年俸キャップのため、ベテランCBのデズモンド・トゥルファントをライオンズに放出せざるを得なかったファルコンズ、CBの穴埋めは最優先課題でした。
17位:シーディー・ラム (カウボーイズ)
ダラス・カウボーイズが17位でWRシーディー・ラムをオクラホマ大から獲得。WRとしては3番目での指名ですが、他の二人よりも高く評価する評論家もいます。ダラスには既にアマリ・クーパー、マイケル・ギャラップがいますが、ここに第3のWRとして食い込んでくれば、RBの)マイケル・ギャラップとの相乗効果もあり、カウボーイズの攻撃オプションは多彩さを増しそうです。この順位でこの選手を獲得できたことで、カウボーイズは1巡目最も得をしたチームと言えそうです。
18位:オースティン・ジャクソン (ドルフィンズ)
18位は南カリフォルニア大からOTのオースティン・ジャクソンがマイアミ・ドルフィンズへ入団。ドルフィンズはこれが1巡目2人目の指名です。ドルフィンズは昨季のラッシュ攻撃・被サック数ともにリーグで最下位を争う惨状で、攻撃陣を守れるOTの整備が急務です。しかし、このオースティン・ジャクソンにその重責が担えるか、ここまでのところメディアはこの指名を過大評価と捉えているようです。その下馬評を挽回できるような活躍ができるでしょうか。
19位:デイモン・アーネット (レイダース)
ラスベガス・レイダースがシカゴ・ベアーズとのトレードで、19位指名を確保。オハイオ州立大のCB、デイモン・アーネットを獲得しました。レイダースはパスディフェンスを強化するために、セインツのCBイーライ・アップルをフリーエージェントで獲得する予定でしたが、これが破談。ドラフトでCB補強に動きましたが、アップルほどの活躍が期待できるかには疑問がつきそうです。
20位:ケイラボン・チェイソン (ジャガーズ)
ジャクソン・ジャガーズもロサンゼルス・ラムズからのトレードで1巡目2人目の指名。20位でルイジアナ州立大のDEケイラボン・チェイソンを獲得。DEのヤニック・ガーコウがトレード志願をしていることもあり、2年目のDEジョッシュ・アレンとの若いコンビでDEコンビを組むか、あるいはLBとしても出場の可能性がありそうです。
21位~32位
21位:ジェイレン・リーゴー (イーグルス)
21位はフィラデルフィア・イーグルス。テキサスクリスチャン大からWRのジェイレン・リーゴーを指名。イーグルスはWRがベテランばかりになっていて、怪我も多いので、若いパスの受け手を見つけ出すのがこのドラフトの課題でした。トレードで、もう少し順位を上げて、更に有望なWRを選択する可能性もあったと思いますが、それはぜす念願のWR獲得には成功しました。
22位:ジャスティン・ジェファーソン (バイキングス)
22位はミネソタ・バイキングスがバッファロー・ビルズとのトレード成立で指名権を獲得。ルイジアナ州立大のWR、ジャスティン・ジェファーソンを指名しました。バイキングスはこのトレードで、WRのステフォン・ディグスをトレードしましたが、そのWRの穴埋めという形でジェファーソンを指名したことなります。
23位:ケネス・マレー (チャージャーズ)
ロサンゼルス・チャージャーズが2人目の1巡目指名を23位で行使。これはニューイングランド・ペイトリオッツとのトレードで獲得したものです。指名したのはオクラホマ大のLBケネス・マレー。この23位の指名のために、ペイトリオッツに37位と73位を放出したチャージャーズですが、その二人分の価値をマレーが創出できるか、には疑問が出ており、ペイトリオッツの判断が光ったトレードと言えそうです。
24位:シーザー・ルイス (セインツ)
ニューオリンズ・セインツが24位でミシガン大のC/OGシーザー・ルイスを指名。この指名は意外な指名と受け止められています。セインツは昨年も2巡目にエリック・マコイを指名、OGにもプロボウルに選出されているアンドラス・ピートとラリー・ワーフォードを抱えているため、他のポジションを指名すると思われていたためです。しかし、ワーフォードが契約最終年ということで、ルイスを指名したようで、その後ワーフォードはフリーエージェントとなり、セインツから放出されています。
25位:ブランドン・アイユーク (49ers)
25位はミネソタ・バイキングスとのトレードを成立させたサンフランシスコ・49ersが1巡目2人目の指名で、アリゾナ州立大のWRブランドン・アイユークを指名。このオフにWRイマニュエル・サンダースがセインツに移籍したため、WR補強は課題でした。1巡目1人目(14位)の時点では、WRの選択は更に豊富にあったと思いますが、なぜその時WRを指名しなかったのかには謎が残ります。
26位:ジョーダン・ラブ (パッカーズ)
グリーンベイ・パッカーズが、ヒューストン・テキサンズとのトレードで26位指名を獲得。ユタ州立大のQB、ジョーダン・ラブを指名しました。この指名は、今ドラフトで最も議論を呼ぶ指名となりました。パッカーズには、QBアーロン・ロジャースがいますが、彼も36歳、衰えも見えてきています。その後継候補としての指名ですが、チームとして必要なのはロジャースのパスを受けるWRの補強。今季よりも将来を見据えたドラフト戦略が今季にどういう影響を与えるか?そしてロジャースは既に、自身のキャリアを終えるのはパッカーズではないかもしれない、と言及しており、来季以降の移籍も取り沙汰されています。
27位:ジョーディン・ブルックス (シーホークス)
27位指名はシアトル・シーホークスで、テキサス工科大のLBジョーディン・ブルックスを指名。かつて堅守で名を馳せていたシーホークスもここ数シーズンはディフェンスが安定していません。特にLBは補強必須の箇所で、このポジションの指名はチーム事情から言えば当然の指名。しかし、ブルックス自体は必ずしも高い評価を得られておらず、チームに適応できるか注目です。
28位:パトリック・クイーン (レイブンズ)
ルイジアナ州立大出身のLBパトリック・クイーンが28位でボルティモア・レイブンズから指名。シーホークスと同様、レイブンズもLBの補強が急務でした。レイブンズは堅守で知られているチームですが、クイーンの加入でその堅守のチームカラーを守ることができそうです。
28 (28)Baltimore RavensRavens Patrick Queen LB LSU
29位:アイザイア・ウィルソン (タイタンズ)
29位はテネシー・タイタンズがジョージア大のOTアイザイア・ウイルソンを指名。160キロに迫る巨漢の選手ですが、それ故にスピードには不安が残り、先発の座を獲得できるのか不安視する声も上がっています。
30位:ノア・イグビノーガニー (ドルフィンズ)
マイアミ・ドルフィンズは今ドラフトで1巡目3人の指名件がありました。その3人目がこのノア・イグビノーガニー、オーバーン大学のCB。ドルフィンズはリーグ屈指のCBを抱えており、この指名はそのバックアップ、あるいは将来性を見込んでの指名といえそうです。ドルフィンズは、この枠をトレードで活かすこともできたはずです。
31位:ジェフ・グラッドニー (バイキングス)
ミネソタ・バイキングスが49ersとのトレードで31位指名、テキサスクリスチャン大のCB、ジェフ・グラッドニーを指名。CBを補強したいバイキングスでしたが、既にこの時点では有力なCB選手はドラフトされており、小柄でかつ半月板の手術明けのグラッドニーに掛けることになりました。
32位:クライド・エドワーズ・ヒレアー (チーフス)
1巡目最後の指名、32位は今年のスーパーボール覇者のカンザス・チーフス。指名したのはルイジアナ州立大のRBのクライド・エドワーズ・ヒレアー。1巡目で唯一のRB選手となりました。RB選手が1巡目に指名されることは、良い戦略とはされていませんが、チャンピオンのチーフスにとって、RBのルショーン・マッコイが抜ける穴を埋めるのは当然の課題です。ヒレアーがこのドラフトのベストRBかは議論が分かれるところですが、確実に1年目からレギュラーには名前を連ねてきそうです。